研究テーマ『途上国におけるICT技術導入による生徒/教師の行動変化−初等・中等教育を中心に』

研究の背景
途上国の初等・中等教育分野において、PCの普及は新しい段階に入った。先行するOLPCの取り組み(※1)に加え、Intel社のClassmate PC、台湾ASUS社のEee PCなど新規参入が続いており、2008年度に入ってからも。途上国教育開発の「ITバブル」と言っても過言ではない。
しかし、途上国の教育開発研究・特にICT教育研究では、計量的な分析が殆どで(例えばM.M.T.Rodrigo 2005)、生徒・教師の行動変化の様な質的な分析は殆どされていないのが現状である。

研究の目的
私は、初等・中等教育の現場にICTを導入することは生徒・教員の学校内/外行動にこれまでに無い大きな変化をもたらすと考えている。とりわけ途上国では、その教育コンテクストの独自性から、先進国とは異なった生徒・教員の行動変化が発生し得る。
本研究はICTが初等・中等教育に導入された際の生徒の行動分析を通じて、ICT導入による途上国特有の行動変化を観察することを目的とする。この研究成果は途上国ICT教育の更なる拡大に伴う『陥穽』を指摘する可能性を持つと考えられる。

研究の方法
本研究は以下の2つの指針から調査を進める。
①ICTが生徒の学校「内」活動に与える影響
②ICTが生徒の学校「外」活動に与える影響
調査地域は経済発展の段階と比較してICT技術が初等・中等教育に導入されている国を検討する。OLPCのプロジェクトを受注したウルグアイ・メキシコ・カンボジアなどが候補である。

*1 One laptop per computerの略( http://laptop.org/)
参考文献
Rodrigo,T., 2005 quantifying the devide: a comparison of ICT usage of schools in Metro Manila and IEA-surveyed countries. International journal of Educational development